井戸

古代のケルト人は水には神聖なものが宿ると考えていました。川や湖、泉には人間を癒す魔術的な力があるとされ、しばしば立ち入りが禁じられる聖域となりました。温泉で有名なイギリスのバースもこういった聖域の一つであり、ケルト人は温泉を彼らの女神スルスの力が顕現する場所として礼拝しました。ローマ人がブリタニアを征服するとバースに温泉が出ると知って喜びましたが、彼らは浴場の隣に神殿を建立して女神に捧げました。ローマ人はスルスとミネルウァを同一視していたのです。バース遺跡での発掘調査の結果、この温泉では窃盗が頻発して問題になっていたことが分かっています。入浴している間に貨幣や貴重品を盗まれ、姿を見せない泥棒を呪った銘板が130枚も発見されているのです。