射撃場

地中海の西方では弓は主戦力としての武器とならず、「弓は臆病者の武器」といささか大袈裟に揶揄する戦士社会さえありました。しかし東方では弓は軍の重要な武器であり、どの国にも優れた射手を揃えた部隊が存在したのです。東方の軽い複合弓は射程や威力に優れ、軍の戦術の中の一翼を担っていました。本格的な主力同士の衝突が始まる前に弓兵が一斉に矢を放ち、敵の戦力を削ぐのが主な役割であり、また騎兵突撃の前に射撃して敵の陣形を崩すといった用法もありました。また騎乗した弓兵は恐るべき兵士となり、パルティア軍は退却しつつ後方に矢を放つ「パルティアの一射」で機動力に劣るローマ軍を大いに苦しめました。