二頭戦車

解説

戦車は枝編み細工の車体と鉄で縁取った木製の車輪で構成され、それを2頭の丈夫な馬が牽引する強力な兵器です。車体はロープによって車軸に支えられており、それが現在でいうサスペンションの役割を果たし、悪路においても衝撃を吸収できました。戦車の乗員は馬を操る御者と武器を持つ戦士の二人です。御者は戦場に戦士を運び、必要があれば再び戦士を乗せました。戦士は敵に接近するとまず投槍を放ち、そして戦車から降りて白兵戦を挑むのです。BC55年にカエサルがブリタニアへ侵入した際、彼は戦車についてこう記しています。「…戦場を縦横に駆け巡って投槍を放ち、速度と轟音によって敵を混乱に陥れ入れる。そして戦士は戦車から飛び降りて戦い、御者は戦場を離れる。（中略）…峻険な坂を駆け下り、瞬時に停止して方向転換し、轅の上を走り、頚木に立ち、再び足場へと戻る。こういったことを日々の訓練と実戦によって易々と行っているのだ。」